一昨日、京都は雪が降りましたね。
この年度末の時期に雪ですか。
過去にも3月の雪を見たことはあります。
思い出すのは会社員時代にある後輩が突然会社を辞めると言い、3月末で退職していった彼を見送るときに、やはり3月の雪が舞っていたことです。
多くの期待を背負い、将来を嘱望されていた男。
自分の夢を追うために約束されたコースをあえて捨て去り、いばらの道を選んだのはなぜだったのか?
退職すると決めた人間というものは、得てしてその後気が緩み、手抜きをしがちなものです。
しかし、彼はそのようなことはなく、最後の最後まできっちりと仕事を仕上げ、引継ぎのための資料も完璧に作り、あとをにごすことなく、颯爽と去っていきました。
信頼できる人間とはこういうものなのか。仕事のできる人間とはこうなのかと感服した記憶があります。
その彼を、季節はずれの雪が、祝福するかのように、名残惜しむかのように、真っ白に覆いました。
また、あいつと一緒に仕事がしたい。
そんな風に思える男でした。
今、どこで何をしているのか。
3月の雪を見ると思い出します。
店主