お礼

この喫茶葦島を始めたのが平成22年の5月葵祭の日。あれから3年が過ぎまして、これから4回目の夏を迎えようとしています。

この3年余りを思い出しますと、本当に色々なことがあり、けっして順風満帆というわけではありませんでした。

それでも、こうやって続けてこられたこと、その理由は一つではありませんが、何よりもご来店くださるお客様、とりわけいつもご贔屓にして頂いている方々のお陰でございます。

そして、全ての関係者、スタッフの皆さんのご協力のお陰です。

本当にありがとうございます。

もっとも、粛々と日々の営業を続け、永続していくことが目的である以上、特別何周年というような催しは考えておりません。どうかご理解頂きたく思います。

思い出しますと、一から独学で始めたこの店ですが、当初は多くの方から「続くはずがない」と言われました。

客観的にはもっともなご指摘だとも思いましたが、それでもくじけないで、黙々と日々の営業を続けてきたことを思い出します。正直申しまして、辛い時期が長く続きました。

しかし、私の心中では「前例がない、モデルがないからこそ始める意味がある。事業において何よりも大切なのは、理念であり、それを具現化する日々の営みだと思う。そして創業者は、果敢に挑戦していくところにこそ、その存在価値があるのではないか。」という、ほとんど妄信に近い自己肯定ぶりでした。

ただし、そのような自己肯定を目的化しないようにも注意してきたつもりです。あくまで経営とのバランスを考えながら、頂くご指摘やアドバイスの中で、もっともだと思うことは柔軟に取り入れて、随時改めてきたのも事実です。

そうやって、1年が過ぎ、2年が過ぎていき、ようやく多くの方に訪れていただけるようになってきました。

我慢の道程は、諦めた時点で消滅しますが、過ぎ去れば振り返る事ができるところに意味があるのかもしれません。

また、経営を支えるもの、それは様々な要素があるものの、理念以上のものはないのではないかと、今はそう思います。

そもそもこの喫茶葦島を創った趣旨については、すでに拙ブログ「喫茶葦島の理由」にて記した通りです。開業以来、その趣旨についてはいささかの迷いもなく月日を重ねて参りました。

そして今後は、お客様にもっともっと珈琲本来のピュアな味を堪能していただけるように、自然素材で構成された当店のインテリアで心身ともにお寛ぎ頂けるように、あらゆるサービスを高めていきたいと思います。

けっして規模を拡大するのではなく、よりサービスの品質を高めていくことに注力していくつもりでございます。何卒よろしくお願い申し上げます。

店主

省かれた線

 

先日、鉄筋オブジェ「後ろ向きのベーシスト」が売約となりました。

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個人的にお気に入りのオブジェだっただけに、ちょっぴり残念ですが、それ以上に、この背中姿を気に入っていただけたこと、大変嬉しいです。

 

造形作家、徳持耕一郎さんの手による鉄筋アート。

省かれた線にこそ意味を感じます。

 

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作品から語りかけてくることはありませんが、静かに聞こえない音を奏でてくれています。

ある意味における存在感のなさが、当店のオブジェ達の良さと言えます。

 

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存在感のないものをうまく調和させることで、自分自身の存在を確かめられるところにこそ、その空間の居心地良さが際立つものではないかと、教えてくれているように思います。

 

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7月にはまた新作がお目見えする予定です。

 

店主